山陰・鳥取県 境港市(さかいみなとし)は鬼太郎をはじめとする妖怪と、サバ、アジ、カニなどのお魚が いっぱいのまち
冬の味(12月〜2月)郷の味ごよみ−山陰の郷土料理− 山本富子(やまもと・とみこ)著書より
12月
津田カブ・鴨・そば 師走に入ると松江市近郊の農家は”津田カブ”の取入れで忙しい。新聞紙上やテレビで「島根半島の冬の風物詩」と紹介されるのは稲ハデのように大量に干してある風景。 津田カブは元々津田近郊の特産で各家庭で浅漬けを作ってそれぞれの味を競ったものだという。戦後には市街化のため産地が移動して現在は朝酌、本庄の農家が工場と契約栽培をしている。 四、五日から一週間干したカブは工場で漬け込み、八割以上は県外へ出荷されるという。田舎じみたおふくろの味なところが都会で受けるらしい。紅葉色で中は白く、青々と使った葉と共に盛り付けると、美しい色彩がまず食欲をそそる。松江、米子、出雲の百貨店やスーパーで売られ、年末の贈答品そしても売上げが伸びているのが目立つ。 宍道湖、中海に鴨が群れ遊ぶ季節となって白鳥の姿もチラホラ見え始める。宍道の八雲本陣の鴨料理といえば、家伝の悲報をそのまま再現したものとして世に広く知られる。主材料の鴨肉が吟味してある点はさすがと感嘆の声が多い。 あわただしい大晦日は年越しそばでしめくくる。出雲はそばどころといわれ、おいしいそばを食べさせる店が多い。三瓶はそばの産地としても名高い。 伊豆もそばの特徴は面の色が黒くてサクサク、ゴツゴツとした感じ。梅雨も幾分から目で、そば通の好む味。大根おろしがひとつまみ添えてあるのも出雲そば独特のものと思われる。 伯耆そばの傾向は面に粘りがあって口当たりがよく、つゆはあまり辛くない。境港の”平田屋”が有名で、通にはもちろん、万人向けの味が受けて「旅」にも初回されたが、店の作りが普通の民家風なので県外の車が戸惑っているのをよく見かける。店内には有名人の色紙がたくさんかかげられたその人気を物語っている。 1月 寒ぶり・岩海苔・赤貝 元旦、暗いうちから海辺に出ると待つほどもなく水平線から数条の曙光が雲を染めて、新しい年はおごそかに明ける。この大海原は年中絶えることのない海の幸を我々の暮らしに授けてくれる。 厳冬、日本海の逆まく荒波を泳ぎきった新鮮な魚は脂がのってますます味わい深くなる。寒ブリは季節最高の味といわれ一メートル近い威容とともにまさに王者の貫禄がある。成長するにつれて呼び名が変わるとこから出世魚だと縁起をかつぎ、正月用に歓迎される。幼名は地方によってまちまちだが、山陰ではハマチ(またはサワズ)からマルゴそしてブリになる。 まず刺身だが、ブリは薄づくりを情報とする。照り焼きはおせちの一品に、塩焼きはおせちに飽きる頃にぴったりの味。天然物には及ばぬが沖の養殖物もかなり大きいものならなかなかいける。 岩海苔も正月用に欠かせないもののひとつ。酒の肴によく、雑煮の味もぐんと引き上げる。荒磯の香りは素晴らしく、他に類を見ない。分厚くゴリゴリした感触がたまらない。山陰海岸一体で取れるが、特に十六島あたりで多く生産され、畳一枚に大きくのばしたものや、”かもじ海苔”という珍しいものがある。 中海七味に数えられるナマコも、おろし和えにするなど左党にはその歯ざわりがこたえられぬという。 赤貝も中海七味のひとつで大衆的な味がどんな料理にも向く。酒としょうゆでから炒りにするのが郷土風。赤貝は駅弁として売り出されて公表である。 郷の味ごよみ −山陰の郷土料理− 1996年11月12日印刷 1996年11月18日発行 著者 山本富子 発行 米子今井書店 印刷 米子今井書店印刷工場 製本 日宝綜合製本株式会社
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