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【市】1.庄司家母屋・茶座敷及び庭園

発行 境港市教育委員会 TEL 0859-44-2111
 市指定文化財

 1.庄司家母屋・茶座敷及び庭園
※ 大変申し訳ありませんが原則として一般公開は行っておりません。 

 所在地  境港市渡町2228番地
 指 定  昭和62年3月25日
 種 別  有形文化財(建造物)及び記念物(名勝)
 所有者  庄司尚史
庭園 庄司家は渡町の中心部に位置し、内浜市道の東側に添って建てられている。江戸時代後期富豪の代表的な屋敷構えを残しており、地方の建築史上貴重な建物である。
 母屋は天保3年(1832)村内の大火に類焼したが、翌4年再建されたものである。(泉屋文書「永代記録帳」)。
 建築様式は入母屋右勝手造り、平面構成は前、中、奥に3分された9間取りで整然と構成されており、後年向座敷の一部が改造された形跡があるが、その他は再建当時の様式をそのまま残している。
 同家には元治元年(1864)鳥取藩主の浜の目巡視にあたり、休息所を命じられたため建てられた茶座敷がある。茶座敷は、母屋の東に前庭を挟み、廊橋(渡廊下)を通じて南北に建てられており茶室、湯殿、雪隠を一棟に構成する、全国的にも例の少ない建築である。

 茶室 書院式四畳半、水屋、茶道口を備え、炉は本勝手四畳半切り。
 湯殿 木製の汲込み式湯槽、脱衣所は茶室水屋口に続く。
 雪隠 六畳畳敷、便器は総漆塗、便槽は箱式、手洗、便室に分かれる。
茶座敷 庭園は地方的名園で、東南の隅に三尊石を配し、左右に築山と刈込みを配し、前方を広く取って白砂を敷き詰め、川を象徴するとともに、内門の下を潜って玄関前の大海に注ぐ雄大な構想を持つ。また石橋を渡り築山の後ろを通って茶室に至る、枯山水にして回遊式庭園として特徴がある。
 白砂の中に敷設された飛石の配置は、書院前の駕篭置石の大きさと相まって、主景的要素となっており、出雲式庭園の様相を持つ名園である。書院正面にある自然石の立蹲踞は、自然が生み出した芸術品で、江戸時代末期同家に来遊した文人田能村直人が、雲龍石とも雲路石とも命名した由来を持つ名石である。また渡廊下一帯には、中国の西潮ゆかりの「トクサ」が群生し、書院表座敷の雨切りに那智黒の石を鱗状に並べてあるものも珍しい。
母屋 明治3年3月25日、鳥取藩主池田慶徳は同家に宿泊した。この夜松江藩主松平定安は世子瑶彩丸を伴って庄司家を訪ねており、両藩主は同家書院の間で会談した。慶応4年2月山陰道鎮撫使を迎えたおり、松江藩の危機を救われた礼を述べるための会談であったと伝えられる。同家はまた、安政4年(1857)藩の家禄改めには、会見郡内大地主の筆頭に位置し、慶応2年(1866)の記録によると苗字帯刀を許され、大庄屋待遇(「因伯在方一手名前記」)を得ている、地方きっての名家である。

境港市の文化財 GUIDE BOOK より

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