★境港市観光協会会長 桝田知身が選ぶマイベストテン★○月明かり 棚田に百目 現われる 草 舟
月明かりのなかに浮かぶ棚田のイメージが百目のイメージと重なり、玄妙な美しさを醸し出している。
妖怪も棚田も守るべき日本の原風景。秀句である。○50年 夫婦喧嘩は チンチロリ 夫婦茶碗
チンチロリという小坊主の妖怪が「加藤殿はチンチロリ」というと加藤は「そういう者こそチンチロリ」と言い返した。京都から岩国に帰るまで同じ事を言い続けたと言う。そういう他愛もない夫婦喧嘩を50年。ま、結局、仲がいい夫婦と言うことなんでしょうね。チンチロリという珍妙な妖怪で夫婦喧嘩の機微を見事に捉えた。けだし名作というべきか。○朝寝坊 いそがし一緒に 大慌て 早寝早起
朝食の準備、子供の弁当、会社勤めの旦那さんの見送り。いつもは早寝早起きの主婦が朝寝坊し、大慌てしているさまが目に浮かぶようだ。妖怪「いそがし」も一緒に大慌てしているところがなんともおかしい。○阿波狸 山の葉ドロンと 金に変え 周 平
徳島県上勝町は人口2000人の山奥の町であるが、山の葉を全国の料亭に販売するシステムを作り上げ、いまや、年商何億円。しかも、それに携わる人のほとんどが「後期高齢者」とか。アイデアと逆転の発想はまさに妖怪の世界ですね。○すっぴんの 妻にぬりかべ 道を開け 八十日目
「すっぴんの妻」に”通せんぼ”専門の「ぬりかべ」が道を開ける。目をパチクリさせるぬりかべの表情を想像するとたまらなくおかしい。それにしても「ぬりかべ」にそこまで譲歩させる「すっぴんの妻」ってどんな顔をしているんでしょうかね。○化粧取り 見たなと脅す 化け女房 夏次郎
「化粧を取ると別人になる」。よくあるパターンですね。おそらく新妻だろうけど、まさか古女房じゃあないでしょうね。このように脅かされた時は、「女性を二人分楽しめる(或いは楽しめた)から、後悔なんかしてないよ」と答えましょう!○君さとり? 好きなこころを 見透かされ 15の春
「さとり」は人間の心で思うことは、どんなことでも見通す妖怪。そういう妖力を持てたら便利いいだろうね。ただ、あまりハッキリ分かりすぎると、かえって、味気ないか。お互い好きか嫌いかハッキリ分からないところに人生の妙味があるのかもね。○ギャル曽根の 鬼太郎カリーで 牛不足 妖怪「大食い」
全国のレトルトカレーを大食いタレントのギャル曽根が食べ、日本一に選んだのが我が境港の「鬼太郎カリー」である。途端にバカ売れし、注文殺到で製造が間に合わず、鳥取和牛も不足した。テレビの宣伝力の凄さを今更ながら思い知らされた。○恋やぶれ 思い募って 濡れ女 しのぶ
ごぞんじ松竹実写版映画「ゲゲゲの鬼太郎千年呪い歌」のメインテーマ。それにしても、濡れ女が恋にやぶれたと勘違いし、人間を千年も呪うとは。「しのぶさん!今でも好きですよ」と海人に代って言ってあげたい。○のりのりの 妖怪ソング 狂いざき くにお
ついに、わたくしこと、世界のヒノテル・日野晧正さんの作曲した「妖怪ブルース」で歌手(?)デビュー致しました。まさに、狂い咲きでスンマセン!でも、すばらしい曲ですから、応援よろしく。